クオリティ・オブ・ライフ(以下QOL)という医学上の概念は、広くは健康を増進する活動全般を意味し、狭い意味では、人生の質を重視するという考え方です。
それに対抗するのがサンクチュアリ・オブ・ライフ(SOL)という概念で、生命の尊厳とも訳されます。 医学発展の歴史と同様、SOLという概念の方が古く、QOLという考え方が成立したのは、割と最近になってからです。
それぞれの考え方の差異を分かりやすく示す場合、よく引き合いに出されるのは、末期ガン患者に対する治療の仕方です。
SOLでは延命治療が最優先され、患者の苦痛や人間としての尊厳は二の次になります。当然ながら、治療効果を計る基準は延命期間のみとなります。
一方QOLにおいては、患者がどのような気持で治療を受けどの程度満足できたかという、質的な側面が重要視されます。
単なる延命治療よりも患者の苦痛を取り除くことを優先課題とし、時として尊厳死をも肯定するのが QOLの立場です。
妊娠中絶手術についても、SOLは全面的に否定する立場なのに対して、QOLではそれを容認します。 美容整形技術の発達と需要拡大の背景には、このQOLという概念の普及が不可欠であったということは想像に難くありません。
例えば、ある女性の顔面に大きくて醜いアザがあったとしたら、日常生活を送る上で機能的にはなんら問題はありませんが、内面的には決して健全で幸せな状態であるとは言えません。
そのような場合、美容整形手術を肯定する理屈の根幹となるのが、QOLという考え方なのです。
|